二人の距離。




橘くんが校舎に入って見えなくなると、周りから冷たい目でじろじろ見られる。


「誰、あの子…。」

「橘くんに何で近づいてるの…。」


そう言った言葉がたくさんの方向から飛んできて、胸にちくちく刺さる。

何であたしなんかに話かけるの…。

別に橘くんが悪い訳じゃないのに、橘くんを責めてしまう自分がいる。


「…やっぱり、この高校に来るべきじゃなかったんだ…。」


小さく呟き、とぼとぼ高校の中へと入っていく。


「あ、ちょっと待って!!」