東京で迎えた初めての初夏。
東京は、地元よりも半袖になるのが早かった。
6月になると、一日中半袖で過ごせる日も多い。
半袖から出た腕に風が心地よい季節になった。

6月のとある土曜日。
週末だし、明日も日曜日で休みだし、ってんで当然のようにユリコとクラブへ行く事になった。

ようやく慣れてきた東京の電車に乗って、新宿へ向かう。
土曜日夕方の電車は、そんなに混んでない。
こんな時間から都心に向かう人ってそんなにいないもんだね。

違う沿線に住むユリコとは、アルタ横の富士銀行前で待ち合わせ。
まずは、腹ごしらえ&ガールズトークの為に、ロッテリアへ。

今日のユリコの服装は、一段と気合の入ったピンクのシャネル風スーツ。
っていうか、そのスーツって流行っているのか?
キャンキャンとか読み漁ってるユリコが着てるんだから、お姉さん達の間では流行ってるんだろう。
しかも、睫毛には真っ青なマスカラが…。よく解らん…。孔雀か!?

ちなみにアタシは、黒のピタピタのカットソーに、これまた黒の超ミニスカ。
素足に、黒のローファー風のパンプスだ。
このパンプスは最近のお気に入りで、金色の飾りとヒールが高いトコが気に入ってる。
ヒールが結構太めでしっかりしてるから歩きやすい。

ロッテリアでは、ユリコのヤバ過ぎる体験談(笑)を聞きながら、どこのクラブに行くか検討した。

その日は、最近男性ファッション誌にも載っていた、歌舞伎町のクラブにすることにした。
初夏とはいえ、夜の風が吹き始めた。
行き先を決めた私達は、夜の風を感じながらセントラルロードを歩き始めた。


目的のクラブは、ビルの3階。
狭いエレベーターに乗り込み、夜の独特の香りと胸騒ぎを感じながら上へ向かう。
いつも、この瞬間はなんともいえない緊張感と、期待感と…。
歌舞伎町の夜が始まる様子を窓から眺めながら、エレベーターが昇っていく感触が快感だった。
まるで、この東京でアタシ達が昇り上がっていくかのように感じた。

そして、扉が開いた。