その後、なんとなくアルタで服を見ることにした。
夏に向けてちょっと派手目な服が欲しかったあたしは、
足のラインがまる分かりな位ピタピタな、黒の細身のパンツを買った。
ラインがベルボトムですげーキレイなの。ちょいB系っぽい感じに一目惚れ。
あとは、ちょっとサイケな柄の、胸元が開いたカットソーも。

なんとなく、その服を買うときもイイヤマの事を考えていた。
アイツに会う時に着たいなーなんて思いながら服を選んでいた。

そして、その後はブラブラとマイシティとかを流しながら、駅でユリコと別れた。

『今日もまた新宿の夜が始まるなぁ…。
今日は一人でどっか違うクラブでも行こっかなぁ。』
一瞬だけ、そう思ったけどやっぱ止める事にした。
絶対に今日中にアイツから電話があると思ったから。

一人で電車に乗る時は、いつもなんだか寂しいけど今日はちょっと幸せな気がした。
すでに暗くなった外を眺めながら、電車に揺られる。
日曜日の夜は、電車もそんなに混んでいなくて。
でも、全員が座れる程空いているわけでもないからアタシはつり革に掴まりながら、外の景色を眺めた。

いつもだったら、1本遅らせてでも座って帰るんだけど、今日はそんな事全然思わなかった。
立っていても疲れなんか感じなかったし、何よりも早く帰りたかった。
もしかしたら、電話でアイツの声を聞きたかったからなのかもしれない。

ネオンがキラキラ光る新宿を発車して、どんどん普通の住宅街に景色が変わってゆく。
日曜日の夜だから、皆家でのんびりしているんだろうなぁ…
なんて、あちこちの家に光る電灯を見ながら考える。

そうこうしている内に、駅に着いた。
まだ、住み始めて少ししか経っていない街だけど、既に第2の故郷のように感じる。
都心やあちこちに遊びに行って、この駅に帰ってくるとなんだかホッとする。

改札を抜け、階段を登り地上に出ると、駅から私の部屋まではまっすぐ1本道だ。