「何よ、何か用?」 男は無言で、舞子を見つめている。 抵抗するつもりはない。 だって早く死にかけなければいけないのだから。 「刺したいなら刺せば?」 男は無言だったが、瞳が揺れた。 殺人衝動が萎えてしまっては困る。 「大声出すわよ」 男が皮手袋を嵌めた手でナイフを握りなおす音がした。 「来ないで。近付かないで」 男が一歩、舞子に近付いた。 抵抗されると殺したくなるらしい。