「あら!あなたが噂の柚ちゃん…?」
名前を呼ばれた柚は、ビクッと体を震わせた。
「は、はい…!御苅 柚と申します…。初めまして。」
ぎこちなく挨拶を終えた柚は深く頭を下げた。
そんなに堅苦しくなくても大丈夫だけど、それぐらい緊張してるんだろうな…。
彼女の姿を隣で見ながら、そんなことを思っていると…
「とっても可愛いっ!」
おふくろの興奮した高い声が玄関に響いた。
「響から話は聞いてきたんだけど、思ってた以上に可愛らしい子だわ〜!」
おふくろはニコニコと満足そうに笑うと、柚の手をギュッと握った。
「美咲ちゃんが“思わず抱きしめたくなっちゃうくらい可愛い女の子”って言ってたんだけど、その気持ち…分かるわ〜。」
ふふ、と微笑むおふくろ。
まさか、おふくろまで美咲さんみたいに柚に抱きつくわけじゃねぇだろうな…。
嫌な予感がした俺は、柚の手を握るおふくろの手を振りほどき、彼女の前にスッと立った。


