姫榎は自分のセンサーが鳴ってなくても

ガタガタ震えていた。

姫榎は僕の肩よりまだ少し

背が低い。

「手繋いでる?」

姫榎は小さな手で

差し出した僕の手を

ギュッっと握った。

姫榎は実年齢より

精神年齢は随分、低い。

姫榎を見つめてた目を前にすると

2人の姿は消えていた…。

センサーの音は消えていた。

僕の近くで恐怖に怯えた泣き声が聞こえる。

服がひんやりとしてきた。

パッとみると姫榎が泣いている。

過呼吸になりながら。

「姫榎!ちゃんと呼吸して!!」

しばらくして姫榎は落ち着き始めた。

ただ涙が止まらない。

「姫榎どうしたの?」

俺はまだ気づいてなかった。

「夕凪ちゃんと喜多くんが…」

「確かにいなくなったな…」

不意に靴が浸水してることに気づいた。

大雨の日の感覚みたいに

気持ち悪かった。

でも、雨は降ってないのに

そんな感覚おかしかった。

ふと下をみると顔を背けた。

2人は原形を止めてなかったのだ。

臓器だけが原形を止めてた。

足元は血の海だった。

こんな平穏な街で

残酷ゲームは行われてる。