ふと目を開けると

電車の中にいた。

学校に着くまであと2駅。

隣には姫榎がいる。

姫榎に耳打ちした。

「さっきまでゲームしてたよな?」

「残酷ゲームしてたよね」

「いつもどうなってるっけ?」

「いつも、ミッション終わったら

あの暗い空間に転送されるのに

今日はされなかったよね?」

残酷ゲームが終わってから

幸せな日常に戻るのは

もう慣れていた。

だけどあの暗闇の空間に転送されずに

日常に返されるのは

さすがに気持ち悪い。

「今日もまた転送されるのかな?」

姫榎が不安そうに聞く。

きっといつも通りなら

転送されるんだろう。

転送されるなら

またビクビクしながら

生きてなきゃいけない。

「大野くん……」

「どうしたの?姫榎」

「大野くん彼女いる?」

「いないよ。」

「私大野くんのことが好きなの」

「付き合う?」

姫榎はまた耳を赤くする。

今日は俺らの記念日。

お願いだから今日は呼ばないでくれ。

姫榎と2人でいたいんだ。