ピピピ ピピピ


毎朝の最初の憂鬱な存在を止めて、
『まだ寝ててぇー』と懲りずに思う感情を押し退け、起きる。



――水の音がする。


伊藤 浩汰、15歳、近くの高校に通っている
独り暮らしの『普通』の高校生。

だが、俺は
もう『普通』から卒業したのだ!


その証拠に
独り暮らしなのに下のリビングから水の音がするではないか!



………



「な、に、やってんだ、よおおおおおお!!!!!」

「朝からうるさい。」

「あ、すみませ…じゃなくて!!!!!
なんで此処に居るんだよ!!!!!」

「彼女が彼氏を迎えに来たら悪いか。」

「不法侵入って知ってるか!!?」

「近所迷惑って知ってるかー。」



この人の痛いところを突いてくる女は
日比野 綾。

こいつが俺の『普通』を覆した。

そう、それは昨日の事…