もしも君が助けてくれたら

そして、次に行ったのはテニスコートだった。

男子と女子が隣同士のコートで練習をしていた。

ふと目がいったのは、アイツとよく一緒にいる二つくくりの女子だった。

あの女子もエースなんだろうか。

「あの、あの人は・・・」

毎回先生から言ってもらうのも悪いのでたずねてみると、先生が満足気にうなずいた。

「あぁ。あの子もいい子でね。面倒見がよくてしっかりしているよ。近藤奈々っていうんだけど、副キャプテンを努めていて、キャプテンと同じくらい上手いって聞くよ」

次に目がいったのは、男子テニスコートでとてもしなやかな動きをしている男子だった。

でも、アイツはクラスでみたことがない・・・。

俺がジッと見つめていると、先生がクスリと笑った。

「やっぱり気になるかい?彼は隣のクラスの東龍君。生徒会長だよ。噂では近藤さんとつきあってるらしいよ」

先生が笑いながら恋愛話をするのもどうかと思ったがとりあえずうなずいておくことにした。

「そう、ですか・・・」

次に行ったのは体育館だった。

そこではバレー部とバスケ部が体育館を半分に分け、練習していた。

なんでも、バレー部は女子だけでバスケ部は男子だけだから丁度いいらしい。

「いったぁ!!!すった痛い!マジ痛い!」

体育館に入った瞬間聞こえた悲痛の声に目をやると、その女子とも目があった。

短髪の、少年のような顔が印象的だった。

「こらぁー!中野ー!だらしないぞー!」

先生が笑って言うと、中野、とよばれた女子は慌てて立ち上がり自分のポジションに戻っていった。

そういえば、あいつもクラスでみた覚えがある・・・。

「中野鈴。体育委員女子だよ。ちなみに、女子バレー部は僕の担当の部活なんだよ。中野は君がくるのを楽しみにしてたよ」

クスリと笑った先生を横目に俺は体育館から出た。