小さな声で鳴く子猫の頭を舐めながら、横たわる母ネコ。


「かわいい‥‥よしよし」


いつぶりだろう、こんな優しい気持ちになれたのは。


――ピクっ


母猫の片耳が動いて、ネオンの光る路地の入口を見る。


あたしも、目を向けた。


「‥‥‥誰?」


透き通るような、綺麗な声が聞こえた。


『にゃーん』


母猫が、嬉しそうに声を上げた。


逆光で顔は見えない。


だけど、影でわかる細い足。


腰までありそうな長い髪、そして手には何かパックらしきものと器。