「じゃあ、行ってくるね。」 「うん、行ってらっしゃい。」 「・・・・・・あの、行けないんですけど。」 「え?」 気づくとあたしは、レイの着崩したスーツの裾を握っていた。 「あ、やだっ!ゴメン!」 「フフッ、今日は早く帰って来るから。」 チュッとあたしの頬に柔らかい感触を残してドアは閉じて行った。 名残惜しくドアを見つめるけど、もう開くことはない。 さ、気分を入れ替えて家事をしなくちゃっ!