「いいかい、鬼の首を取ってくるまで帰って来るんじゃないよ!!」

「もも太郎!?
ウケ狙ってんのかよ、ギャハハハハ」

「ケッ、鬼退治なんてやってられっかよ
おい、さっさとフケようぜ」

「いい、危ないからあの人には近寄っちゃダメよ」


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 捨て子として育てられてきた実親への怒り。屈辱的な命名。周囲からの差別、偏見の目、孤独な日々。

 半強制的とも言える出兵による、裏切りと命の危機。


『ボクハナンノタメニ・・・・』


 生まれて初めて自分を必要としてもらった喜びと、任務をまっとうしなければ、という正義感に混乱するもも太郎。


「ぼ、僕は一体どうすればいいんだ……」


 鬼は再び言った。

「今、国は乱れている…。
ワシはなぁ、この時代を変えようと思っとるんじゃ
共に天下を取りに行こうではないか!!」


 答えは出ていました。

 その圧倒的な力と、飽く無き野望に、いつしか惹かれていたのです。


 もも太郎に、もう迷いはなかった。


 涙目をギラギラ輝かせて、力強くうなずきました。