8/15

《今日、家の庭に玉手箱を埋めた。あれから一週間が過ぎたが、今だ未練は絶ち切れない…。それどころか、後から後から湧いてくる。
 俺はなんとしてでも竜宮城へ戻るんだ。》


8/16

《近所の小童どもに金を渡し、亀を死なない程度に痛めつけさせ、適当なところで助けに入った。巧く釣れるといいが…。》


8/17

《どうやら策は巧くいったようだ。予想通り助けた亀の使いが話し掛けてきた。 思った以上に傷は深かったが問題ない。
 そろそろ出発の準備をしなければ。明日の今頃は再び竜宮城だ。》




8/22

《なんだこれは……何だ、何だ、何だ、何だ、なんなんだこれは。なんだこの醜い老人のような姿は…。これが俺なのか。街は、家は、母は…何処にも見当たらない。海から戻った途端、何もかも変わり果ててる。》


8/23

《見慣れた廃棄を見つけた。中から見つけたのはこの手帳と母の亡骸だけだ…。これが住みなれた古里なのか…まるで時間が早送りされたようだ…。亀だ…亀を探さければ。何処だ、何処にいる。俺に何をした……。》