息をのむ一行。ついに鬼が島へとたどり着いてしまいました。


「だ、誰か様子を見てきてくれないか…」

 三匹はピクリとも動こうとしません。


「オイ、おめー見てこいよ」

 サルが犬に向かって口火をきりました。

「あ"ぁー何言ってやがる!? オレの方が先に入ったんだから、舎弟のてめぇが行ってこいや」

 犬もすぐに反撃。

「大して変わんねぇだろーが」

 互いになすりあい、言い争い、そして殴り合いに発展。


 大昔から『犬猿の仲』と言われる程仲の悪い二匹が、そもそも力を合わせるなど無理だったのだ。

 ハァ‥‥。もも太郎はため息が出ました。


「じゃあ、自分がちょっくら見てきますよ」

 このままじゃラチが開かないという事で、翼を持ったキジが空から様子を伺うことに。


『最初っから行けよ…』

 とりあえず一安心のもも太郎。



 しかし、待っても待っても、いつになってもキジは戻ってきません。

 一体どうしたんだろう‥‥。いくら何でも遅すぎる‥‥。


 まさか…。不安がよぎる。

「ケケケ、野郎、バックレちまったんスかねぇ」

「いやぁ、捕まって焼き鳥にでもされちまってんスよ、きっと」

「…………」


 静まり返る空気。


 心配になったもも太郎は自ら島へ潜入し、辺りを探しましたが、キジの姿は見当たらず‥‥。

 見えるのは、旨そうに焼き鳥をほうばる門番の姿だけでした。


「なんてこった…」


 急いで状況を報告しに走るもも太郎に更に追い討ちが。

 戻ってみると、犬もサルも荷物も見事に消えていました。


「う、うそだろ…」


 絶望するもも太郎。

 ふと、夜空を見上げると、キジがあさっての方向に飛び去って行くのが見えました。


「ちくしょう―――!?」


 思わず声を荒げて地面の石を蹴り上げると、運悪く門番の頭に的中してしまいました。

「くせ者じゃ、出あえぇ、出あえぇ――!!」


 何から何までツイてないもも太郎でした。