「ご存知の通り、ここはあなた方のいる世界とはまるで異質な空間です。勿論“恩返し”のつもりで尽させて頂いている事に変わりはないのですが…中にはふてぶてしい輩がおりまして……」

「と言いますと?」

「思いの他、ここが気に入ったようで、再び訪れたいがため、我々の同士を傷つけ、脅し、竜宮城へ連れて行かせたり、探索を行う不届き者が後を絶ちません」
 女性の表情は更に険しくなった。

「そこで、提案したのがこの“玉手箱”です。この中の煙状の薬品を浴びますと、こちらで過ごした記憶が全て消される仕組みになっています」

「なるほど…それならここの存在が明るみになる事はないわけだ」

「……はずなんですけどね」

「?? 分かりました。責任を持ってコレ、頂いて帰ります!!」

「そうですか、ありがとうございます」