食べきれない程の豪勢なご馳走の数々。
 代わる代わる現れては美しい舞いを披露するなまめかしい女性たち。
 お酌の相手をしてくれる妖婦からは、理性を奪う甘い香りが…。

 なんと愉快なことか。近所の色街の比ではなかった。
 至極のもてなしを受けた青年。



 どれ位の時間を過ごしたのだろうか。気づくと既に三日も経っていた。

 それにしてもなんと居心地が良い事か…。

 いや、良すぎる。体の力は抜け、働く意欲が失せてくる青年。

「い、いかんいかん、そろそろ漁にも戻らないと!? このままじゃ女狂いになってしまう」
 少し焦って青年は切り出した。

「いゃあ…楽しかったです。申し訳ない、図々しく長い間居座ってしまって。そろそろおいとまします」

「そんな、まだいいじゃありませんかぁ?」

「いえ、仕事も残っていますし、母のことも気になりますので」

「そうですか…それでは残念ですがこのあたりでお開きとさせて頂きますか。では少々お待ち下さい」