途中、きび団子の匂いにつられた犬が話しかけてきました。

「もも太郎さん、お腰に付けたきび団子、一つ私に下さいな?」

「あぁ、上げましょう。その代わり僕と一緒に鬼をぶっ飛ばしにいってくれないか?」

「いいですともー」


『どこか旨いんだか、こんなブタのえさ…』

 人間にはとても食えたモノではなかったきび団子でしたが、その効果は絶大でした。

 材料費を削って削って作られた、超極薄味の団子は、動物にはウケたようで。
 サル、キジと後から後から寄って来ました。


 勢いに乗って、次々にスカウトを試みようとするもも太郎でしたが、申し訳なさそうに犬が言いました。

「あの…すいません、もう無いっスよ、団子」

 えっ、もう!?

 これでは誘うエサがありません。

 だめ元で、一応付いて来てもらえないか、と聞いてみましたが、やっぱりだめでした。

「ちっ、無ぇーのかよ‥‥じゃあやる訳ねぇーだろうが、寝ぼけんな!?」

「で、ですよね……」


 トラ、ライオン、ゾウ、ゴリラは不機嫌そうに帰って行きました。

「はぁ、即戦力が…」


 ガックリきたもも太郎でしたが、落ち込んでもいられず、先を急ぐことに。


 あんなに騒がしかった三匹も、鬼が島に近づくにれて、みるみる内にテンションが下がっていきました。