「カメぇ―――っ、ようやく見つけたぜぇ!!
 俺の顔に見覚えあんだろぉー」


 お粗末な結末を遂げたかくれんぼから早数年。

 再びカメの下にちょっかいをかけるウサギが現れた。


「俺と勝負しろやぁコラ"ァ、嫌とは言わせねぇぞ――っ」

「いいですよ。何で白黒着けましょうか?」


 父の無念を晴らすために挑んだウサギ(Jr)との再戦を、カメはムカツクくらいあっさり承諾した。



 勝敗の判定は、約三キロ先の山頂にある一本松に先に触れた方が勝ちという、至ってオーソドックスなものになった。

 自分の土俵なら負ける要素など、米粒ほども見当たらないウサギ(Jr)は、スタートと同時に猛ダッシュでゴール目指し駆けて行った。

 一方カメは、相変わらずマイペースに出発した。