開始から半日が過ぎ、夜が明け、また日は沈み。

 いつしか三日が経っていた。


 この頃から、ウサギの身体に異変が。

 余裕の笑みで緩んでいた顔も、徐々に険しく、落ち着かない様子に。

 震えは止まらず、情緒不安定な状態に。


「だ、だ、だれか…恐いよう……だれかぁ…」

     .....
 極度の寂しがり屋のウサギが、ただひたすら暗闇に身を隠して過ごす三日間。

 誰にも会わず、話さず耐えるには限界を越えていたのだ…。



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「ウサギさん、見ぃつけ、っと…」


 開始から五日目。カメがようやくウサギを発見した時、すでに身体は冷たい屍になっていた。


 心身喪失による、悲哀な孤独死をとげたウサギに軽く手をふれ、言葉をかけた。


「やはり何事もやってみなければ分かりませんねぇ……。

 ではこの勝負、私の勝ちということで」



 ウサギの唯一の致命的とも言える敗因は、自分自身を知らな過ぎたことだった。



 -完-