のろのろ…のろのろ……。

 歩くのも、喋るのも、のろのろ…のろのろ…。
 働くのも、飯を食うのも、のろのろ…のろのろ…。

『何だってこんなに動きが遅いのか?』


 そんなカメを見ていて、ウサギは挑発気味に言った。


「ようよう、カメさんよう~アンタ、何でそんなにノロいんだい?
 人生は短いんだぜ、そんなチンタラ生きてたらあっという間に終わっちまうぜ」

「大きなお世話ですよ。これでも毎日退屈はしてませんよ」


 そんな、すまし顔で答えるカメの態度に、多少の苛立ちさえ憶えたウサギは、ある話しを持ち掛けた。


「こっちの都合で悪いが、見てるとムカツクんだよ…。
 どうよ、いっちょ退屈しのぎに俺と“命がけ”の勝負でもしてみねーか?」


『だから退屈などしていないというのに…』


 ウサギの愚問とも言える様な挑発に乗ってしまうのは馬鹿馬鹿しいと思ったが、このまま引き下がるのも悔しい気がしたカメは受ける事に。


「いいでしょう、受けて立ちますよ。
 もしその勝負の方法を私に決めさせて頂けるのなら、退屈させない自信はありますが」

「ギャハハハ、いいぜ、なんだよ? 何で決めるよ!?」

 あざ笑うウサギに、カメは提案した。