「よう、どうしたよ、んなシケた面してよぅ」

「な、なんですか、イキナリ来て!?
 関係ないでしょ…アナタには分かりませんよ、僕の気持ちなんか…」

「まぁ関係無ぇわな。
 ただ、上空(うえ)からお前ぇの真っ暗な顔見てたら、昔の俺みてぇでほっとけなくてよ」


 い、嫌味か…全然違うじゃないか……そんな真っ白な身体して!?

「ほ、ほっといて下さいよ、アナタと一緒にしな――」

「俺もガキの頃はよくイジメられたもんだよ。毛並が汚ぇ、近寄るな、ってな…。
 そりゃヘコんだぜ、『何故、俺だけこんな醜いアヒルの仔に生まれてきちまったんだよ…』
 親の事も恨んだぜ」

 えっ!? まさか…う、嘘だろ……??


「毎日空を眺めて想ったもんだ。
 いつかこの空を自由に飛び回れたらどんなに気持ち良いだろう…。
 世間のクソ共も、俺を捨てた親も、見返してやれんのになぁ…ってな」

「僕と同じだ……。ア、アナタは…じゃあどうして、どうしてアナタは翔べる様になったんですか!?」

「夢を諦めなかったから‥‥かもな。
 どんな劣悪な環境でも、苦しい毎日でも、ひたすら願ったぜ、決して諦めなかったぜ。

 空を翔ぶことをな」