「お前キモチ悪ぃーんだよ」

「やーい、クロマティー、キャハハハハ」

「そば来んじゃねぇーよ、ウツんだろうが」



 どうして僕だけみんなと違うんだろう……。

 みんなは真っ白な毛に覆われているのに、僕の身体は生まれつき薄汚れた灰色だ…。


 両親でさえ、気味悪がって僕を捨てて消えてしまった。

 どうして僕だけが……。


「ごめんよ、坊や…またイジメられたのかい」

「ど、どうしたの? 何でおばあちゃんが謝るのさ、僕なら平気さ。こんなのヘッチャラだよ」


 そうさ、僕には夢があるから。

 この何処までも広がる、真っ青な大空を飛んでやるんだ。


 辛い時、悲しい時、空を見てると何もかも忘れる事が出来る。

 強がりなんかじゃない。

 だから今は平気。



 ♪♪ 上を向~いて歩こ~う 涙がぁ こぼれ~ないよぉ~に ♪♪


 そこには、今日も眩い純白の大きな羽根を広げ、悠然と青空を泳いでいる群れがいた。


「僕もいつか、あんな風になりたいなぁ」


 そんな僕の声が聞こえたかの様に、群れから一羽の白鳥が舞い降りてきた。