むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。


 いつも通り、おじいさんは山へしば刈りに。おばあさんは川へ洗濯に。


 おじいさんが山へ着くと、一人の女が瀕死の状態で倒れていました。


 聞くと、ある組織に狙われているらしく、命からがら逃げのびて来たらしい。

『急いで助けを呼ばねば!?』

 と、一瞬思いましたが、よくよく考えてみるとコレはヤバいなぁ…と感じました。

「この歳で面倒な事件に巻き込まれるのはご免だ…」


 そう判断し、持っていた鎌でトドメ刺すと遺体を谷底へ投げ込みました。

「ふぅ~‥‥さっ、つづき、つづきと…」

 おじいさんは何事も無かったかの様にしば刈りを再開しました。


 ちょうどその頃、おばあさんが洗濯をしている川へ、どんぶらこ~、どんぶらこ~と、一体の妊婦の水死体が流れて来ました。


 おばあさんが腹を開けてみると、奇跡的に無傷で元気な赤ん坊が出てきました。

「まぁ、可愛い男の子だことぉ」


 なんと因果な巡り合わせだろうか。

 子供に恵まれなかった老夫婦は、この子になぜか『もも太郎』と名付け、暇つぶしに育てる事にしてしまいました。