いつからだろう、彼を男だと意識したのは。 背がどんどん高くなって、声が低くなって、 クラスの女の子が『かっこいい』と言うようになって… いつも他の子よりも近いのに、それ以上近寄れない壁。 その壁を越えれば楽なのか それとも、修復できない壁ができるのか 「ここ、久しぶりだね」 そう言って、バックから大きめのタオルを取りだし、ボスっと私の頭に被せた。 「風邪ひくよ。お前弱いから」 タオルから漂う柔軟剤の匂いに眩暈がする。