「シャルちゃん?大丈夫?」 武久はシャルに向かってそう言った。 シャルは戸惑ったように「うん」と答えた。 武久がなぜシャルの名前を知っているのか、と最初は疑問を持ったが、答えはすぐに出てきた。 僕がシャルを見つけたとき、思わず口に出してしまったのだ。 …ちゃんと聞こえてたんじゃん。 「シャル、帰るよ」 そう言いながらシャルの腕を取った。 しかし、前には進まなかった。 怪訝に思い、後ろを振り向くと、シャルの反対の手に武久の手が絡まっていた。