「何言ってんの?」




僕の言葉に武久は目の前の人物を指差した。




少し遠く離れた場所に2人の男女がいた。





男が女の腕を掴んだところだった。





「なんかあれ、ヤバくない?」





そう尋ねた武久の声は、僕には届かなかった。






「悠斗?」





何も言わない僕を心配してか、武久は僕の顔を覗いた。






「シャル…」






そう呟いたのは無意識だった。