【悠斗】



「うわ、なにあれ。修羅場?」



学校からの帰り道、いきなりそう言ったのは、僕の友人である神流 武久(カンナ タケヒサ)だった。



僕が唯一心を開ける友人だ。



武久にだけは、何でも話すことが出来た。



優しくしなくてもいい対象の人物。




人に優しくすることが疲れるわけではない。



もうこれは小さな時からの癖のように、僕にとっては当たり前に出来ることだ。




でも、武久はそれを許さなかった。




“お前、疲れない?”





それが初めて話した瞬間言われた言葉だった。