「なあ、あんた名前は?」


凌は静かな声でそう尋ねた。


「か、川原砂月…」


なぜか凌と目を合わせられず、砂月は下を向いてそう言った。


「砂月、か…」


凌がつぶやくように名前を言うと、バンッと大きな音を立てて扉が開いた。


「気になる?」


凌は意地悪そうに笑いながらそう言った。


「別に…」


砂月は思わず嘘をついた。