「アタシが元カレと別れた本当の原因は、それ。でさ、あれから彼氏を作らない理由は、今でも一樹が好きだから。」
堂々とそう言うのりの目は、真っすぐで、何の迷いも無い様に見えた。
「あのさぁ、七瀬。アタシはあんた達の仲を裂こうなんてちっとも思って無い。だって、大切な親友と大好きな人が、幸せになるなら、アタシだって嬉しいよ?そりゃ、胸はイタイけど、アタシはそのイタミに喜んで耐えるよ?
・・・けど・・・。
だけどね、“好きかどうか分からない”“情で付き合ってる”なんて言うなら・・・さ、私に・・・一樹ゆずってよ!!」
「・・・・・。」
真剣なのりの目を見れなくて、私は、目を反らした。
のりが・・・一樹を好きだなんて・・・。
のりと・・・一樹。
私の胸の中で、何かドス黒いモノが、ムクリと起き上がるのを感じた。

