“パタン”とケイタイを閉じるのりに「誰か来るの?」と聞いてみる。
のりは、「うん、ちょっとね。」と言ってアイスコーヒーを飲んだ。
それから、暫く黙っていたのりが、不意に話し出した。
「・・・あのさぁ、私が元彼と別れた理由・・・覚えてる?」
「?・・・うん。“好きじゃ無くなった”って言ってたよね。」
それまで、結構仲良くやっていたのりと元カレ。
なのに、急に『別れた。』何て言ったから、すごくビックリした。
・・・それが・・・何?
「んー・・・、そうなんだけど、実は、ちょっと違うんだ。」
「・・・え?」
のりは、俯いたまま、少しぎこちなく笑った。
「・・・本当はさ、七瀬には言わないつもりだったんだけど・・・さ、あの頃、私、ちょっと色々あって・・・。一樹に・・・相談にのってもらってたんだ。」
そう言えば、一時期、一樹とのりが一緒の所、良く見たかも・・・。
でも、あれは、『仕事の話だよ。』って言ってたはず。
・・・違うの?
「それでさ、色々相談しているうちに・・・さ、一樹の事、好きになちゃったんだよね。」
・・・え・・・?
のり・・・何・・言ってるの・・?

