どうしようかと周りに視線を泳がせると、社員の声が耳に入ってきた。




「何よあの子?図々しいわね」




「またこの手~?相手してもらえないからってしつこすぎ~」




いや、ほんとに意味不明。




「あのっ!呼んでくれるだけでいいんですけど!」




もう一度頼んでみるけれど、「お引き取りくださいませ」の一点張りだ。




じゃあしょうがないか、と受付嬢に軽く会釈し、踵を返して歩き出すと。





「―――美緒!」




聞き覚えのある、耳に残るハスキーな声――・・・