毎日が退屈。


唯一の楽しみは、親の経営する病院の屋上で街を見ること。


雨の日だって全然飽きない綺麗な景色。


今日もいつもと変わらず屋上にいた。


高校・・・つまんねぇな。


澄み渡る空を見つめていた。


その時・・・


「きれー・・・」


誰かの声がした。


その方向を向くと一人の女が立っていた。


綺麗な・・・女だな。


綺麗な黒髪を長く伸ばし、それを引き立てるような真っ赤な唇。


キメの細かな白い肌。


スラッと伸びた長い手足に小さな顔。


大きな瞳はどこか悲しそうで・・・。


気づいたときには既に声をかけていた。


「・・・誰だ・・・」


「・・・え・・・あの・・・」


突然のことに戸惑ってる様子の彼女。


戸惑いつつ、答えてくれる彼女に自然と興味が湧く。


「名前は?」


笑って差し出した手を躊躇しつつ、握り返してくれる。


「皿井凛子です。」


名前が少し似ていて何故だか、嬉しくなった。


「俺は篠原凛之助!よろしく!」


自己紹介を済ませ、少し雑談をし、別れた。



久々に楽しかった。


なぁ、凛子。


あれは、運命って、言うんだろうな・・・。