市内でも大きな病院から見下ろす街は綺麗だった。
「きれー・・・」
夏のジメジメした空気に運ばれて来る風が心地よい。
昼間だが景色は抜群だ。
「・・・誰だ・・・」
景色に酔っていた頃に突然後ろから声がした。
そこにいたのはベンチに腰かけた男の子だった。
「・・・え・・・あの・・・」
「誰?」
誰って・・・
「ここの、病人です・・・。」
「そ。新人?」
「はい。」
「・・・何の病気なの?」
・・・この人に言ってもいいのだろうか。
初対面なのに。
「・・・白血病です。」
「白血病?末期なの?」
「いえ・・・まだ初期です。」
新人が末期なわけがあるまい・・・。
「名前は?」
笑顔を向けてくる彼が手を差しのべる。
色素の薄い少し長めの髪の毛に整った顔。
細身の体はまるでモデルのようだ。
笑う口許には八重歯が輝いている。
「皿井凛子です。」
手を躊躇しつつ、握り返す。
「俺は篠原凛之助!(しのはらりんのすけ)同じ"凛"だな!」
「・・・ほんとだね。よろしくね。」
「凛子って呼んでもいい?俺のことは好きに呼んで!」
「わかった。じゃあ・・・凛くんで。」
「よろしく!」
この日会ったのはきっと
運命だと・・・本気で思いました。
