365個の砂時計


市内でも大きな病院から見下ろす街は綺麗だった。


「きれー・・・」


夏のジメジメした空気に運ばれて来る風が心地よい。


昼間だが景色は抜群だ。


「・・・誰だ・・・」


景色に酔っていた頃に突然後ろから声がした。


そこにいたのはベンチに腰かけた男の子だった。


「・・・え・・・あの・・・」


「誰?」


誰って・・・


「ここの、病人です・・・。」


「そ。新人?」


「はい。」


「・・・何の病気なの?」


・・・この人に言ってもいいのだろうか。


初対面なのに。


「・・・白血病です。」


「白血病?末期なの?」


「いえ・・・まだ初期です。」


新人が末期なわけがあるまい・・・。


「名前は?」


笑顔を向けてくる彼が手を差しのべる。


色素の薄い少し長めの髪の毛に整った顔。


細身の体はまるでモデルのようだ。


笑う口許には八重歯が輝いている。


「皿井凛子です。」


手を躊躇しつつ、握り返す。


「俺は篠原凛之助!(しのはらりんのすけ)同じ"凛"だな!」


「・・・ほんとだね。よろしくね。」


「凛子って呼んでもいい?俺のことは好きに呼んで!」


「わかった。じゃあ・・・凛くんで。」


「よろしく!」




この日会ったのはきっと


運命だと・・・本気で思いました。