「じゃあ、行きましょう!?」
「えっ!?」
驚く潤くんの手を掴んで葛城邸へと向かった。
「葵さん、葵さん!?……葵さんってば!!」
「“葵さん”じゃなくて、“葵”でお願いします。私は“潤くん”って呼んでますよ?」
私は潤くんの呼びかけを無視してズンズン歩く。
だって、ここで『友達の家に行く』と逃げられたら困るもの。
これ以上、迷惑はかけられない。
街ですれ違う人達が私たちを見ている。
………ううん、私達じゃない。
潤くんを見てるんだわ。
私に連れられてもきっと、絵になってるんだと思う。
話し掛けられても困るから…
後ろを必要以上に振り返る事も出来ない。
地下鉄の電車の中でも黙ったまま。
暫くして、潤くんは抵抗しなくなった。
………諦めたのかな??
20分程で葛城邸に到着。
はぁ………。
これで第1関門突破かな?
今日こそはちゃんと話し合いをしないとね。



