『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ



翌日、大学へ行こうと玄関で靴を履いていると、



「あっ、潤!!」

「ん?」

「今晩、歓迎パーティーだから早く帰って来て」

「は?……パーティー?」

「そう、お姉ちゃん準備で大忙しよ!!」

「あぁそうですか…じゃあ、行って来る」



バタンとドアを閉め、大きくため息。

はぁぁぁぁぁぁ………。

朝からどんだけテンション高いんだよ!!

まだ、朝の7時30分だぞ?

夜まで何時間あると思ってんだよ!?

料理も出来ない姉貴が、

何をそんなに忙しいんだ!?

あぁ……頭痛ぇ……。

病院で薬貰おう。


今日は家に帰りたくねぇなぁ…。

重い足取りで大学に向かう。



俺の大学の医学部6回生(6年)は、

国家試験勉強に殆ど費やされる。

俺はほぼ単位も修得してるし、論文も出来上がってる。

最近は勉強の傍ら、教授の学会資料の手伝いや手術の見学。

卒業試験後に医師国家試験。

その後に研修医としての2年の卒後臨床研修。

まだまだ医者への道は厳しい。



朝から姉貴の先制パンチで、テンションガタ落ち。

はぁ、気合入れ直さないとな?