『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ



『それでは、この物語のモデルとなっているお2人に登場して頂きましょう♪』



司会者のスピーチと共に軽やかな曲が流れ

会場からは盛大な拍手が沸き起こった。


ッ!!

やっぱ、前と同じじゃねぇかよ!!


5年前の俺もまた、

同じようにひな壇へ歩かされた。



『葛城 潤さん、金澤 葵さん。どうぞ、こちらへお越し下さい…』



口調こそ優しいが、

悪魔の囁きにしか聞こえねぇ。



「潤くん……」

「………」



今にも泣きそうな彼女。

けれど、

このままずっと座ってるワケにも行かないし。


俺は仕方なく……。



「葵は黙ってればいいから」

「えっ?」

「俺がフォローする」

「………」



俺は困惑している彼女の手を引き、

彼女と共に席を立った。