前に一度、同じような事があった。
俺が大学へ入りたての頃、
当時の彼女が年上という事もあり、
『医大生が弄ばれる』…そんな漫画を
この、星鈴社のコンテストに応募した。
それが、新人賞を受賞し、
受賞しただけなら良かったんだが、
なんと、作品のモデルが俺だと言い、
姉貴の受賞祝賀会に弟として
何も知らされないまま会場へ。
で、姉貴の企み通り……。
あぁ~~~ヤバいなぁ……。
このパターンは……。
逃げるか?!……だよな?
ココは逃げるが勝ちだろ?!
俺は深呼吸して葵の手を掴もうとした
その瞬間―――――。
「えぇ…それでは、開場となりますので、ご着席の上、今しばらくお待ち下さい…」
開場の知らせと共に……
「葵、行くよ?」
「へ?」
弥生さんに腕を掴まれ歩き出す葵。
「ったく!!マジかよッ!?」
俺は葵の後を追った。



