『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ



前に一度、同じような事があった。

俺が大学へ入りたての頃、

当時の彼女が年上という事もあり、

『医大生が弄ばれる』…そんな漫画を

この、星鈴社のコンテストに応募した。

それが、新人賞を受賞し、

受賞しただけなら良かったんだが、

なんと、作品のモデルが俺だと言い、

姉貴の受賞祝賀会に弟として

何も知らされないまま会場へ。


で、姉貴の企み通り……。


あぁ~~~ヤバいなぁ……。

このパターンは……。


逃げるか?!……だよな?

ココは逃げるが勝ちだろ?!


俺は深呼吸して葵の手を掴もうとした


その瞬間―――――。


「えぇ…それでは、開場となりますので、ご着席の上、今しばらくお待ち下さい…」


開場の知らせと共に……


「葵、行くよ?」

「へ?」


弥生さんに腕を掴まれ歩き出す葵。


「ったく!!マジかよッ!?」


俺は葵の後を追った。