『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ



「潤くん、行こう?」


可愛らしい笑顔で腕を掴まれ

俺は無意識に歩き出す。

はぁ、やっぱムリかぁ……。


ラウンジ内で演奏を聴きながら

ボーっとしていると、

弥生さんが俺をチラチラ見ている。

何か話でもあるのか?


そんな風に思いながら30分が経過した。



「じゃあ、そろそろ時間だし、行こうか?」



弥生さんの合図で席を立った。


ロビーを通り抜け、エレベーターで上階へ。

たしか、このホテル…

こんな上の階にはレストランは無かったハズ。


胸騒ぎが色濃くなる中、

エレベーターは静かに止まった。


彼女ら2人の後を追って降りると、

辺り一面人だかり。


ッ?!!何だ?この人達……。

背中を嫌な汗が流れ落ちる。



すると―――――、



「あの、潤くん。ちょっといいかなぁ?」

「………はい」



弥生さんに呼ばれて壁際へ。