土曜日の夕方―――――。
姉貴は仕事の打ち合わせを兼ねて
先にホテルへと向かった。
弥生さんは仕事が立て込んでるらしく
担当している作家の自宅から
直接ホテルに向かう事に。
そして、俺と葵はというと…
俺は用意されたスーツを身に纏った。
生地からして高級感が漂う。
黒い細めのロングジャケットに
少し変わったデザインのベスト。
少し光沢のあるブルーのネクタイ。
これって……ブリオーニか?
まさか……な?
鏡の前でポケットチーフをセットしてると、
「潤くん、お待たせ~」
アシスタントの美鈴さんが彼女と共に現れた。
「………ッ!!」
目の前に現れた葵は、
ベビーピンクのシフォンのワンピース
ビスチェタイプのロングテール。
胸元は黒いレースのバイカラー。
どう見ても、食事仕様には見えないが。
胸元に大粒のダイヤが輝き、
同じデザインのピアスをしていた。



