『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ



土曜日の夕方―――――。


姉貴は仕事の打ち合わせを兼ねて

先にホテルへと向かった。


弥生さんは仕事が立て込んでるらしく

担当している作家の自宅から

直接ホテルに向かう事に。



そして、俺と葵はというと…


俺は用意されたスーツを身に纏った。

生地からして高級感が漂う。


黒い細めのロングジャケットに

少し変わったデザインのベスト。

少し光沢のあるブルーのネクタイ。

これって……ブリオーニか?

まさか……な?


鏡の前でポケットチーフをセットしてると、



「潤くん、お待たせ~」



アシスタントの美鈴さんが彼女と共に現れた。



「………ッ!!」



目の前に現れた葵は、

ベビーピンクのシフォンのワンピース

ビスチェタイプのロングテール。

胸元は黒いレースのバイカラー。


どう見ても、食事仕様には見えないが。


胸元に大粒のダイヤが輝き、

同じデザインのピアスをしていた。