『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ



依頼人には……

“決して本気にならない”

恋人代行の五か条の1つを、

俺は自ら破ってしまった。



彼女の事が好きで堪らない。



彼女を作った事もあるが、

葵ほど好きになった事が無い。



“女”はあくまで、金稼ぎの“エサ”

………そう思っていたから。



卒業試験中にこんな事を考えて

自分でも少し焦っている。



彼女に告白して、

依頼人と請負人の関係を清算すべきか。


けれど、そうしたら…

この同居生活は解消させられるのかも。


俺が盾になる為にこの家に来たワケだから。



この生活を壊したくない。

毎日彼女に触れていたい。



けれど……

本当にこれでいいんだろうか?




俺は毎日毎日、

彼女との事を考えていた。