依頼人には……
“決して本気にならない”
恋人代行の五か条の1つを、
俺は自ら破ってしまった。
彼女の事が好きで堪らない。
彼女を作った事もあるが、
葵ほど好きになった事が無い。
“女”はあくまで、金稼ぎの“エサ”
………そう思っていたから。
卒業試験中にこんな事を考えて
自分でも少し焦っている。
彼女に告白して、
依頼人と請負人の関係を清算すべきか。
けれど、そうしたら…
この同居生活は解消させられるのかも。
俺が盾になる為にこの家に来たワケだから。
この生活を壊したくない。
毎日彼女に触れていたい。
けれど……
本当にこれでいいんだろうか?
俺は毎日毎日、
彼女との事を考えていた。



