『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ



けれど、彼女はこんな俺に嫌な顔一つせず、

可愛い笑顔で“ありがとう”と。


そんな彼女の事がますます好きになる。





あっという間に夏が明け―――。


葵は毎日教育実習で忙しく、

俺は卒業試験のシーズン到来で

お互い目まぐるしい日々を過ごしていた。



お互いに忙しい俺らが、

ゆっくり顔を合わせる時間。


それは……“寝る時”だけ。


けれど、元々寝つきが抜群の彼女は

布団に入るや否や深い眠りへと…


俺はそんな彼女にキスをし抱き締めて、

倖せの余韻を噛みしめながら

毎日、心地いい眠りにつく。




『女』は小遣い稼ぎの“エサ”としか

思ったことが無い俺が、

今じゃ『葵』だけは違うと思うように。


依頼されなくても彼女を守ってあげたいし

彼女の為に何かをしてあげたくなる。




そして、

俺は自らタブーを犯す。