けれど、彼女はこんな俺に嫌な顔一つせず、
可愛い笑顔で“ありがとう”と。
そんな彼女の事がますます好きになる。
あっという間に夏が明け―――。
葵は毎日教育実習で忙しく、
俺は卒業試験のシーズン到来で
お互い目まぐるしい日々を過ごしていた。
お互いに忙しい俺らが、
ゆっくり顔を合わせる時間。
それは……“寝る時”だけ。
けれど、元々寝つきが抜群の彼女は
布団に入るや否や深い眠りへと…
俺はそんな彼女にキスをし抱き締めて、
倖せの余韻を噛みしめながら
毎日、心地いい眠りにつく。
『女』は小遣い稼ぎの“エサ”としか
思ったことが無い俺が、
今じゃ『葵』だけは違うと思うように。
依頼されなくても彼女を守ってあげたいし
彼女の為に何かをしてあげたくなる。
そして、
俺は自らタブーを犯す。



