この日を境に俺らの空気感が少し変化した。
葵は俺を見る度、落ち着かない様子で、
避けてる?と思えば、頬を赤らめたり。
話し掛ければニコッとするのに、
突然“ごめんね”と言い残し、どこかへ消える。
これって……俺を“男”として
意識してるって事でいいんだよな?
まずまずってところか?
姉貴はというと、
小さいメモ帳と鉛筆を肌身離さず持ち歩き、
怪しい眼つきで俺らを見てる。
何がそんなに気になるのか、
不思議でならないが……
姉貴の考えてる事にロクな事が無い。
これだけは断言出来る!!
『さわらぬ神に祟りなし』
姉貴に関わると、
とんでもない事態に巻き込まれるのは目に見えてる。
姉貴の奇怪な行動に、
俺は敢えて気付かぬフリをした。
そして、俺はというと……。
彼女に触れたくて、
無意識に近づき手を伸ばす。
突然触られた彼女は驚くが
“勉強頑張ってんな”
“今日のメシ、旨かった”
と、何かに付けて白々しい言い訳を。



