「十分な睡眠が取れなきゃ身体に毒です。それに、お医者様は身体が資本でしょ?不健康なお医者様だなんて、説得力に欠けますよ?」

「あっ、いや…俺まだ医者じゃないし…」

「つべこべ言わない!!あと半年もしたらお医者様でしょ!?」

「……」


………ダメだ。

完全に聞く耳を持ちそうに無い。


この際、“襲うぞ?”って脅かすとか?


俺がアレコレ考えていると、

彼女はトドメを刺して来た。



「私、潤くんが寝るまで起きてますから」

「は?」


そう言った彼女は、自分用の机に向かって勉強を始めた。


俺はそんな彼女に懸命に説得を試みるが失敗。

彼女は頑固なまでに聞く耳を持たない。



どうすりゃいいんだ??

俺が横になればいいのか?

とりあえず、ベッドに横になってみるか?



考えること30分―――――。


結局、他に言い訳も思いつかず、諦める事にした。



「葵さっ……葵」

「はい」


俺は彼女の名を呼び捨てにする事に少し抵抗を感じながら…