短編集



「でも、私…佐々木君のこと何にもしらない」


「じゃあこれから知っていってよ」


「っ――でも!!」

私はまだどこかで期待してるの。
彼がまた私の所にに戻って来てくれるんじゃないか、って。

……彼はもう私のことなんて何にも思ってないのにね。


「いい加減あきらめなよ。俺が全部忘れさせるから。」


「わたしっ――」

ほろりと堪えきれなかった涙が私の頬をつたった。



それと同時にぐいっと引っ張られた腕。