短編集



扉に手をかけたとき、




「はやく忘れなきゃな…」



小林が泣きそうな声で言った。



「じゃあ俺にしなよ」


驚いたように小林がこっちを向く。
自分でもまさかこんな事を言うなんて思っても無かったけど…


でもきっと俺はあの日
小林を見つけた時から小林を好きになってたんだろう…


だって、いつものキラキラした笑顔の小林にあんな顔はしてほしくないってあの時思ったから。


――――――