巧の手が好きだった。


いつもその手はあたしを引っ張ってくれるから。


甘えてばかりのあたしは、ずっと離したくなかった。


だけど、中3のあの日。


巧に彼女が出来たとき。


あたしは気づいたんだ。


巧がいつも傍にいたの単に幼なじみだから、ってこと。


あたしのことを兄弟みたいに思って心配してるだけなんだ。


どうして今まできづかなかったのかな。


巧は酷く心配性だから、きっと自分からはあたしの手を離さないだろう。


だから、あたしからちゃんと言うね。


もう大丈夫だよ、あたしひとりで平気だよって。


だから、その手を離して。


そう言うから・・・。