「は・・・」


桜が嘘でしょ?と聞き返す。


あたしもびっくりした。


だけどそれ以上何も考えられない。


「全部、知ってた」


龍が一言、そう言った。


桜の顔が青くなる。


「なんで・・・」


「・・・口止めされてたから」


「口止めされてたからってひどいよ、龍・・・」


あたしはぼーっと見つめているだけだった。


キーンコーンカーンコーン・・・


チャイムと共に先生が入ってきた。


「じゃあね、巧」


にっこり笑って陸ちゃんが踵を返す。


「ごめんね、えみちい」


あたしの横を通り過ぎるときにかけられた言葉。


「月島あ、どうかしたかー」


いつまでも席に着かないあたしを、先生が心配そうに見つめている。


「・・・なんでもないです」