Marius−マリウス−前編

テーブルに両肘を付き、頭を抱え、声を震わせるクレーティルの肩を、ニシキアスは立ち上がり、後ろからそっと抱きしめた。
「マリウスに残る者の方が、恐らく、辛く地獄のような日を過ごす事となるだろう。傍にいてやりたいが、私には地球でやらなくてはならない私の使命がある。クレーティル、マリウスを頼むぞ。王妃として、最期の時まで、皆を見守ってやってくれ」