早朝の中庭に白い息を吐きながら剣の稽古をしているゴーシンがいた。
「ゴーシンっ!」
ケンペクトの呼び掛けにゴーシンは手を止め、声のした方を見た。ゴーシンはその声の主がケンペクトだと気づくとサッとケンペクトの方に向き直り、頭を下げた。
「ケンペクト様。何か、緊急の事態でしょうか」
「緊急の事態か…。ゴーシン、話がある。中へ入れ」
「はっ」
ケンペクトの後を追い、ゴーシンは城の中の一室へと入った。