「ゴーシン」
不意にトニーセンが呼び掛けた。
「…独り言は、終わりですか」
「ああ、終わりだ」
トニーセンは、グラスの酒をグッと飲んで、ゴーシンの肩に手を掛けた。
「…お前の強さは、天性の勘の良さと、人一倍の努力の賜物だってことは、この老いぼれが保証してやる」
「…そりゃどうも」
「恐らく、人は身の丈に合った使命しか与えられないもんさ」
「…」
「今の俺の使命は、マリウス最期の時を見届ける事」